胃、十二指腸潰瘍に対するピロリ菌の除菌
胃には強い酸(胃酸)があるため、通常の菌は生きていけません。 1983 年、オーストラリアのワレンとマーシャルという医師が、胃の中にピロリ菌が生息していることを発見しました。日本では 40 歳以上の約 80 %の人がピロリ菌に感染していることがわかりました。
胃、十二指腸潰瘍の患者様はピロリ菌に感染していることが多く(約 90 %)、潰瘍の発生、再発、治りにくさに深くかかわっています。
薬を服用することにより、ピロリ菌を退治する方法を「除菌療法」といい、大部分の潰瘍の再発が抑制されることがわかってきたため、「除菌療法」が胃十二指腸潰瘍の基本治療としてわが国にも根付いてきました。
ピロリ菌除菌までの流れ
- ピロリ菌の検査(尿素呼気試験)を行います。
- 尿素呼気試験:検査用の薬を飲んだ後吐き出された息(呼気)で、ピロリ菌に感染しているかがわかります。簡単な検査です。
- プロトンポンプ阻害剤(胃酸を抑える)と 2 種類の抗生物質を 1 日 2 回、 7 日間内服します。
- 治療終了後、 4 週間以上経過してから確認の検査(除菌できたかどうか)を行います。正しく薬を内服すれば、ピロリ菌の除菌は約 90 %の確率で成功します。注意:薬の内服を途中で中断すると、耐性菌が現れることがあります。 副作用:下痢、味覚異常、肝機能障害
- 治療はすべて健康保険でおこなえます。
(参考文献: Helicobacter pylori 感染の診断と治療のガイドライン )