高脂血症
高脂血症というのは、血液中の脂質であるコレステロールや中性脂肪などが多い状態です。ともに健康を維持するのに必要な栄養素ですが、必要以上に存在すると、血管の周りにコレステロールがたまり動脈硬化を引き起こします。すると血管が狭くなったり、つまったりします。心臓でおきると 狭心症や心筋梗塞、脳で起こると脳梗塞、そのほか腎機能障害、大動脈瘤、動脈閉塞、失明などさまざまな重大な合併症をひきおこします。
原因は、遺伝的な体質、肥満、食べすぎ、運動不足、長期の飲酒、甲状腺機能低下、腎臓病、コントロール不良の糖尿病、また、女性は更年期になるとコレステロールが上がりやすくなります。
目標値
総コレステロール180-220 mg/dl未満(危険因子の数による)
中性脂肪150mg/dl未満
にコントロールすることをめざします。
治療法としては、(1)食事療法 (2)運動療法 (3)薬物療法があります。
通常、数ヶ月間は(1)(2)にてライフスタイルの改善をおこなった上で、薬物療法を開始します。
治療法は?
■食事療法
1日の摂取カロリー=標準体重 (身長(m)2×22)kg×25~30キロカロリー
例えば、身長 160 cmなら、1.6×1.6×22×30 = 1700kcalとなります。
- さかな中心の食生活にする。
肉に多い飽和脂肪酸はコレステロール値を増やし、魚に多い不飽和脂肪酸はコレステロール値を下げます。・鶏卵、いくら、霜降り牛肉、皮付き鶏肉、内臓肉、うなぎなどをひかえる。 - 野菜、きのこ、海草、こんにゃくなどの食物繊維は、コレステロールの排泄を促進します。
- イモ類、緑黄色野菜、種実類に含まれるビタミン E. C カロチンは、コレステロールの酸化を防ぎ動脈硬化をおさえます。
- アルコール、ジュース、菓子、果物を取りすぎると中性脂肪を高めます。
- 喫煙タバコは、善玉コレステロールを減らし、ビタミン C を破壊し動脈硬化を進めます。
厳格に食事療法を守ることで多くの人がコントロールできます。
栄養バランスの取れた食事のためには、「糖尿病食事療法のための食品交換表」が参考になります。
■運動療法
ウオーキング、ジョギング、サイクリング、水泳などの有酸素運動を 30~60 分、週3回以上行うのが望ましいです。
忙しい方は、通勤の場合、駅をひとつ前で降りて歩くなど、生活の中で体を動かす習慣をつけると比較的楽にできます。
■薬物療法
通常ライフスタイルの改善のため、数ヶ月間は食事療法、運動療法をおこなった上で、薬物療法を開始します。
コレステロール値が高い場合、スタチン系(HMG-CoA 還元酵素阻害薬)が第一選択薬、ついで陰イオン交換樹脂、プロブコールなどを用います。
中性脂肪値が高い場合、フィブラート系が第一選択薬 、次いでニコチン酸系薬、 EPA 製剤などを用います。
代表的なスタチン系、フィブラート系薬剤は、共に副作用として、横紋筋融解症、肝機能障害、CPK上昇などをまれに認めます。お薬を飲み始めた後、脱力、筋肉痛、茶褐色尿、に気づいたらすぐに中止し、受診してください。定期的に血液検査を行いチェックします。
まとめ!
高脂血症についてはこれまでに数々の大規模予防試験が行われ、コレステロール、中性脂肪のコントロールにより、心血管病、脳卒中の予防に有効であることがわかっています。
食事、運動、お薬によってコレステロールが下がっても、それを維持しないと効果はありません。
当院では、地域の患者様の、生活習慣病の予防=長生き のために高脂血症のコントロールが役立つと確信しています。気軽にご相談ください。